こんにちは、hachi8833です。
Rails: 先週の改修(Rails公式ニュースより)
珍しくChangelogに更新がありませんでした。更新も少なめでドキュメントの修正が主でした。
Railsコンソールのreload!
でeager loadingされない問題を修正
以下のSTIクラス構造で
config.eager_load = true
を設定したとする。
# config/development.rb
config.eager_load = true
# app/models/class_a.rb
class ClassA < ActiveRecord::Base
def self.types
descendants.map(&:name)
end
end
# app/models/class_b.rb
class ClassB < ClassA
end
rails c
Loading development environment (Rails 4.2.6)
irb(main):001:0> ClassA.types
=> ["ClassB"]
irb(main):002:0> reload!
Reloading...
=> true
irb(main):004:0> ClassA.types
=> []
期待される動作:
reload!
を実行すると、eager load済みのコンテンツがすべてリロードされる。
実際の動作:reload!
を実行しても、eager load済みのコンテンツがすべてリロードされていないように見える。
issue #24819より
つっつきボイス:「修正したのはZeitwerk↓でおなじみの@fxnさんでした」「issueによると、eager lodingされたものをRailsコンソールでreload!
しても効かない問題が修正されたんですね」
参考: 定数の自動読み込みと再読み込み (Zeitwerk) – Railsガイド
test環境での無効なスキーマダンプの扱いを修正
つっつきボイス:「これもissueを見ると、schema_dump: false
を指定することでマイグレーションなどでスキーマダンプを作成しないようにできるらしい↓」「この機能知らなかった」「その機能がtest環境でちゃんと動いていなかったのが修正されたようですね」
# b/config/database.yml
@@ -8,6 +8,7 @@ default: &default
adapter: sqlite3
pool: <%= ENV.fetch("RAILS_MAX_THREADS") { 5 } %>
timeout: 5000
+ schema_dump: false
bladeをアップグレードしてRuby 3.2をサポート
# Gemfile#L110
group :view do
- gem "blade", github: "javan/blade", require: false, platforms: [:ruby]
+ gem "blade", require: false, platforms: [:ruby]
gem "sprockets-export", require: false
end
つっつきボイス:「bladeって何だろう?」「PHPのBladeではなさそう」「SprocketsでJavaScriptのビルドとテストを行うツールキットですって」
「Bladeのリポジトリを見ると、Trix(Action Text)やTurbolinksやAction Cableで使われていると書かれてる」「Sprocketsでバンドルされるものもテストが必要なので、そのために使われているのかもしれませんね」
# javan/blade
# .blade.yml
…
build:
logical_paths:
- widget.js
path: dist
js_compressor: uglifier # Optional
タイムゾーンのテストにUTC-12も追加
# activesupport/test/time_zone_test.rb#L404
def test_parse_string_with_timezone
(-11..13).each do |timezone_offset|
(-12..13).each do |timezone_offset|
zone = ActiveSupport::TimeZone[timezone_offset]
twz = zone.parse("1999-12-31 19:00:00")
assert_equal twz, zone.parse(twz.to_s)
end
end
つっつきボイス:「UTC-12というタイムゾーンをこれで初めて知りました」「UTC+12ではなくマイナスになってる?」
参考: UTC-12 – Wikipedia
参考: UTC+12 – Wikipedia
「Wikipediaを見るとこんなことが書かれてた↓」「該当する地域に住んでる人がいないタイムゾーンだとは」「でもUTC+12だと住んでいる人がいる」「Anywhere on Earthという概念があるのね」
世界で最も西の標準時であり、地球上で最も遅く新しい1日が始まる。このため、これによる締め切り等の日時を Anywhere on Earth (AoE、またはAOEとも) と表記することがよくある。
UTC+12と同じ時刻だが、日付が1日遅れる。
(略)
現在この地域に定住する住民はいない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/UTC-12より
「UTC-13から-23とか幅があるとは知らなかった」「プラスの方にもUTC+13から+23とか幅がありますね」「すぐには思いつかないけど、これが欲しいときもあるんでしょう」「歴史的な理由でできたのかも?」「タイムゾーンって実はちょくちょく更新されたりするので不変ではないんですよね」
「そういえばEUや米国でもサマータイムやめる動きがあるみたいですね」「EUはまだ審議中か」「米国のサマータイム恒久化って、年中サマータイムにするということ?」「よくわからない…」
参考: これで最後?EUが夏時間へ 廃止検討するも議論進まず:朝日新聞デジタル
参考: 米上院、夏時間恒久化法案を可決 | ロイター
「それにしても日本にサマータイムがなくてよかった」「戦後の一時期にだけありましたけどね↓」「知らなかった〜」
参考: 夏時刻法 – Wikipedia
debug.logファイルを100MBでローテーション
# activerecord/test/support/connection.rb#L21
def self.connect
ActiveRecord.async_query_executor = :global_thread_pool
puts "Using #{connection_name}"
- ActiveRecord::Base.logger = ActiveSupport::Logger.new("debug.log", 0, 100 * 1024 * 1024)
+ ActiveRecord::Base.logger = ActiveSupport::Logger.new("debug.log", 1, 100 * 1024 * 1024)
ActiveRecord::Base.configurations = test_configuration_hashes
ActiveRecord::Base.establish_connection :arunit
ARUnit2Model.establish_connection :arunit2
end
つっつきボイス:「これはいい改修」「debug.logってものすごく大きくなったりしますよね」
rails-ujs関連のドキュメント更新
- PR: Document that @rails/ujs is deprecated by dhh · Pull Request #43112 · rails/rails
- PR: Document that @rails/ujs is deprecated for
button_to
by ghiculescu · Pull Request #44100 · rails/rails - PR: Document that
data-remote
anddata-method
are deprecated by ghiculescu · Pull Request #44784 · rails/rails
つっつきボイス:「非推奨になったrails-ujs関連のドキュメントが削除・更新されたそうです」「お、リンクやボタンでdata-remote
が非推奨になるのか」「data-method
も今後はdata-turbo-method
になるのね」「UJSがなくなるならそうなるのもわかる」
参考: Performing Visits With a Different Method: Turbo Handbook
参考: data-* – HTML: HyperText Markup Language | MDN
Rails
Railsコントローラで認可機能を使う(Ruby Weeklyより)
つっつきボイス:「PunditとCanCanCanの比較もされていますが、認可(authorization)機能の解説の方が多い印象でした」
「Cancancanはの認可はコントローラやビュー周りにコードを記述するのに対し、Punditはドメインモデルに記述するという話も盛り込まれてますね」「記事最後のまとめを見るのが早いかも」
「ざっくりとですが、APIベースのAPIサーバーだとCanCanCan方式の方が扱いやすくて、リソースベースで設計する場合はPunditの方が使いやすい印象があります」「記事でもCanCanCanの方がとっつきやすいだろうと書かれてますね」
「CanCanCanはわかりやすいのでシンプルなものを構築するときはいいんだけど、複雑なネステッドリソースを扱うとすぐ破綻するので、ドメインモデルが複雑になることがわかっているならPunditの方が合いやすいかな」「ふむふむ」「持っている権限に応じてURLそのものが変わるならCanCanCanは比較的わかりやすいけど、同じURLだけど見える内容や振る舞いが権限に応じて変わるなら、Punditのように呼び出しコンテキストによってどう変わるかを宣言できる方が扱いやすい感じ」
スライド『予防に勝る防御なし』
#phperkaigi の講演資料を公開します。誤りを想定してチェックするのではなく、そもそも誤りにくい設計とはどのようなものか、「予防」の観点を軸足に、堅牢なコードを導くための様々な設計のヒントをご紹介します。 / “予防に勝る防御なし – 堅牢なコードを導く様々な設計…” https://t.co/bOsa9zuSZH
— Takuto Wada (@t_wada) April 10, 2022
つっつきボイス:「@t_wadaさんのこのスライドはよかった: ここではPHPで説明しています」「設計話だ」「イミュータブルのような定番の話もあるけど、特に後半に学びが多かった」
「まず、SimpleとEasyを混ぜてはいけないという話がわかりやすくていいですね↓」
「fail firstに関連して例外とアサーション(表明)を区別する話もすごくよかった↓」「あってはならないことはアサーションで書く、ふむふむ」「アサーションはテストコードで書く印象があって、Rubyの通常のコードでアサーションをあまり書かない感じなんですが(Javaなどでは通常のコードにもアサーションを書けます)、例外とアサーションを使い分けることでわかりやすくなるというのは学びでしたね」「なるほど」「設計の話は人によって刺さり方が違うものですが、自分はこの2つが刺さりました」
DDDの「腐敗防止層」
「こちらの記事も設計の話です」「腐敗防止層という言葉が興味深い」「著者のミノ駆動さんをちょうどこの間Twitterでフォローしたところです」「今度設計の本を出すんですって↓」「予約しとこうっと」「電書出たら買います」
参考: 『良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門 』を出版します|ミノ駆動|note
「この図↓のインフラ層の何とかgatewayが腐敗防止層なのね」「Adapterパターンを上向きと下向きの両方に使う感じかな」「固いクラス設計はだいたいRubyよりJavaの方が相性がいいんですよね」「DDD(ドメイン駆動設計)は、DDDをちゃんとやれるエンジニアが常に張り付いて管理する必要があるのがちょっと大変」
country_select: 国名セレクタ用gem(Ruby Weeklyより)
つっつきボイス:「取り上げていそうでいなかった国名セレクタを作るgemですね」
<!-- 同リポジトリより -->
<%= form_for User.new, url: root_url do |f| %>
<%= f.country_select :country_code %>
<% end %>
「Webアプリとかの国名セレクタって皆さんどうやって作ってるんでしょう?」「手頃なyamlファイルを見つけるとかでやっていると思いますけどね」「国名セレクタぐらいならgemでやらなくても手作りでいいのではという気持ちはある」
「それに国名のリストを常に最新に保つ必然性は実はあまりなくて、むしろ途中でgemを更新して国名リストが変わったりするとアプリケーションの挙動に影響する方が困るかも」「それもそうですよね」
「国名が変わったりすることってあるんですか?」「国際的に承認されている国やそうでない国のリストが変動することはあるでしょうね」「ローカライズ業界だと、国名の翻訳後にカントリーチェックというレビューが入ることがありました: 特定の国名を訳出していいかどうかを判断する一種のポリティカルチェックです」「たしかに国名の扱いはいろいろデリケート」
その他Rails
RubyMine 2022.1 がリリースされました
主な新機能:
– Ruby 3.1 で導入された Ruby と RBS のサポート
– 新しいインスペクションとクイックフィックス
– 可視性修飾子をインデントさせる新しい設定
– 新規プロジェクト作成の改良
– 新しい通知ツールウィンドウなどhttps://t.co/UxCTWG4Wwv— 株式会社サムライズム (@Samuraism) April 13, 2022
I'll have the honor of giving the opening keynote in RailsConf.
— Xavier Noria (@fxn) April 12, 2022
- サイト: RailsConf 2022
つっつきボイス:「Zeitwerkの@fxnさんがRailsConfのキーノートスピーチを務めるそうです」「オレゴン州ポートランドで5月17日〜19日開催、リモート参加もありか」「もう来月じゃないですか」「さすがスケジュールにも錚々たる登壇者が揃ってる↓」
前編は以上です。
バックナンバー(2022年度第2四半期)
週刊Railsウォッチ: HashieでRubyのハッシュを強化、最近のRubyコア解説記事ほか(20220412後編)
- 20220411前編 Turbo Railsチュートリアル、Active Recordの「Leaky Abstraction」を削減ほか
- 20220406後編 RBS関連記事、Ruby formatterプロジェクト、Google Cloud Runほか
- 20220404前編 Ruby 3.2.0 Preview 1リリース、Rails向けDocker環境ジェネレータ、scientist gemほか
今週の主なニュースソース
ソースの表記されていない項目は独自ルート(TwitterやはてブやRSSやruby-jp SlackやRedditなど)です。
Rails公式ニュース
Ruby Weekly
The post 週刊Railsウォッチ: RailsConf 2022が5月17〜19日開催、認可機能解説記事ほか(20220418前編) first appeared on TechRacho.
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