こんにちは、hachi8833です。
Ruby
Ruby 3.2.0 RC1がリリース
Ruby 3.2.0 RC 1 Released. It includes
* WASI based WebAssembly support
* Regexp improvements against ReDoS
and many other improvements! pic.twitter.com/xP0qVWGFuU— 成瀬 (@nalsh) December 6, 2022
つっつきボイス:「Ruby 3.2.0 RC1リリース」「Rubyの最終リリースは毎年クリスマスと決まっているからもうすぐなのか」「リリースノート↓のchangelogも更新されていますね」
後で早速インストールしました。
$ ruby -v
ruby 3.2.0rc1 (2022-12-08) +YJIT [arm64-darwin22]
Ruby ExplorerをWASIで作った
I built a Ruby Explorer using Ruby WASI https://t.co/e3VTQIcagw#ruby #compilers #wasi
— Adam Hess (@theHessParker) December 4, 2022
つっつきボイス:「このruby_explorerサイトにRubyのコードを書くとRuby VMのインストラクションを逆アセンブルしてしてくれるんですね」「ISeqと表示されているからたしかにVMインストラクション」「サーバーサイドでRubyを動かしたりせず、完全にクライアントサイドでWasm版Rubyを実行することで実現されているということか」「今までだとこういうコードを生成するにはサーバーサイドで行うしかなかったけど、WASIを導入したことでブラウザで生成できるようになりますね」「サーバー料金も節約できるし」
# 同サイトより
== disasm: #<ISeq:<compiled>@<compiled>:1 (1,0)-(3,3)> (catch: false)
0000 definemethod :foo, foo ( 1)[Li]
0003 putobject :foo
0005 leave
== disasm: #<ISeq:foo@<compiled>:1 (1,0)-(3,3)> (catch: false)
local table (size: 1, argc: 1 [opts: 0, rest: -1, post: 0, block: -1, kw: -1@-1, kwrest: -1])
[ 1] bar@0<Arg>
0000 getlocal_WC_0 bar@0 ( 2)[LiCa]
0002 getlocal_WC_0 bar@0
0004 opt_mult <calldata!mid:*, argc:1, ARGS_SIMPLE>[CcCr]
0006 leave ( 3)[Re]
参考: WASI
参考: WebAssembly – Wikipedia
参考: 逆アセンブラ – Wikipedia
RubyのDockerイメージとjemalloc
つっつきボイス:「これはDocker Hub公式のRubyイメージにjemallocライブラリを含めるかどうかというissueですね」「2018年からオープンのままか」「ところでjemallocは未だにRubyではデフォルトで使われませんね」「Linuxシステムにjemallocがデフォルトで入っていないし、jemallocがないとRubyが動かなくなる事態は避けたいだろうからデフォルトにしないんでしょうね」「たしかに」「jemallocを入れられる環境なら入れてもよいと思います」
参考: jemalloc.net
参考: Ruby × jemallocのすすめ – メドピア開発者ブログ
YARVアドベント記事
Advent of YARV: Part 5 – Changing object types on the stack
Here we introduce 5 instructions that change the type of objects on the stack in response to the use of specific kinds of syntax.https://t.co/fOxgE8ZfFq
— Kevin Newton (@kddnewton) December 5, 2022
つっつきボイス:「YARVといえばCRuby(MRI)のVM実装ですね」「そのYARVのアドベント記事をKevin Newtoさん一人で書いているのすごい」「kevin Newtonさんといえば今年のRubyKaigiでSyntax Treeの話をしていた方ですね」「VMメモリハックの話とかいろいろ面白そう」「Ruby Under a Microscope(邦題: Rubyのしくみ)に通じる内容っぽい」「時間のあるときに読んでみたいシリーズ記事」
参考: YARV – Wikipedia
参考: Syntax Tree – RubyKaigi 2022
# frozen_string_literal: true
をつけるかどうか
「Rubocopがそうしろと言ってるから」で思考停止しない良記事!
ちなみに僕は基本的に付けないが、付いていても文句は言わない派です。【Ruby】# frozen_string_literal: trueマジックコメントは必要? https://t.co/mcNnnMBKwQ
— Junichi Ito (伊藤淳一) (@jnchito) December 8, 2022
つっつきボイス:「何も考えずに# frozen_string_literal: true
を書いていいのか問題」「基本的には、このマジックコメントをつけても動くコードを書くのがいいかなと思う」「同一文字列リテラルがあった場合にobject_id
が異なる想定がないと動かないようなコードを書くことは普通はないですよね」
「このマジックコメントでパフォーマンスが改善するかどうかは、コード内にまったく同じ文字列リテラルを何度も評価するかどうかにもよるでしょうね: たとえば以下のようなコードは同じ文字列を何度も評価するから当然つけた方が改善する↓」
# 同記事より
# frozen_string_literal: true
require 'benchmark'
n = 10**8
Benchmark.bm(0) do |r|
r.report{ n.times{ 'abcdefghijklmnopqrstuvwxyz' } }
end
「逆にこういうコードはそのままだと遅い↓ので、本当に必要ならば破壊的変更を行うことになるでしょうね」「普段は破壊的変更を使わずにマジックコメントで封じておいて、ここぞというときにだけ使う感じですね」「文字列の破壊的変更って、意図せずにやってしまうことの方が多いんですよ」「jnchitoさんの記事で”文字列リテラルが存在するファイルにだけ、マジックコメントを書く”というスタイルにしているのもわかる」「何も考えずにマジックコメントを書くよりよさそう」
# 同記事より
require 'benchmark'
n = 200_000
s = ''
t = ''
Benchmark.bm(2) do |r|
r.report('+='){ n.times{ s += 'a' } }
r.report('<<'){ n.times{ t << 'a' } }
end
p s == t
「ところで、昔のRubyは# coding: utf-8
というマジックコメントを書かないとコードに日本語を書いた瞬間に動かなくなったりしましたよね」「Ruby 2.0から書かなくてよくなったんですよね」「マジックコメントは書かなくていい方が嬉しい」
Pythonもエンコーディングを指定するマジックコメントが必要だと思っていましたが、後で調べるとPython 3ではデフォルトエンコーディングがUTF-8になっていて、UTF-8を指定するためのマジックコメントは書くべきではないとのことでした。
参考: 【python】# coding: utf-8はもうやめる – 静かなる名辞
後置のif
昔書いたQiita記事です。記事中のサンプルコードはふざけてるけど、実際コードレビューしてるとこういうコードはよく遭遇しますね〜。
【Ruby】乱用厳禁!?後置ifで書くとかえって読みづらくなるケース https://t.co/egu0XOH7Q8
— Junichi Ito (伊藤淳一) (@jnchito) December 1, 2022
なお、後置のif
は英語だと「if
modifier」と書かれることがよくあります。自然言語の文法における、後ろから修飾する修飾語句(modifier)のことですね。
つっつきボイス:「横に長いコードの末尾に後置のif
があるとたしかに読みにくい」
参考: Style/IfUnlessModifier :: RuboCop Docs
「行数がすごく多いブロックのend
の後ろに後置のif
が書かれていることもありますね」「ところが状況によってはその方が読みやすいと感じられることもあって、一概に言い切れないところもあるんですよ」「そうそう、end
の後にif
を書けるのは割と便利」
「他に変数への代入文の右辺をif
文にする書き方もあって↓、すべてが式であるというRubyならではの記法ですが、これも便利なんですよ」「そうそう、大好き」「この書き方はインデントは深くなるけど、むしろ積極的に使ってもいいぐらいの気持ち」「インデントをどこに揃えるかだけは悩みますね」「自分だったらメソッドに切り出すかも」「複雑にしないのが大事」
hoge = if condition
'hoge'
else
'piyo'
end
「そういえばif
のブロックで変数を定義するとRuboCopに怒られるんじゃなかったかな」
参考: Style/ConditionalAssignment :: RuboCop Docs
# https://docs.rubocop.org/rubocop/cops_style.html#styleconditionalassignmentより抜粋
# bad
if foo
bar = 1
else
bar = 2
end
# good
bar = if foo
1
else
2
end
「このand
を使う書き方は好き↓」「Rubyでand
やor
の優先順位が低いからできる技ですね」「Railsのコントローラでredirect_to <リダイレクト先> and return
と書くのは定番で、if
を使うよりも読みやすいと思います」「and return
を書き忘れるとDoubleRenderErrorになるヤツですね」
# 同記事より
# 金なしか?それなら処理中止
no_money? and raise TooPoorError
参考: Rails API redirect_to
— ActionController::Redirecting
参考: 演算子式 (Ruby 3.1 リファレンスマニュアル)
# https://docs.ruby-lang.org/ja/latest/doc/spec=2foperator.htmlより
高い ::
[]
+(単項) ! ~
**
-(単項)
* / %
+ -
<< >>
&
| ^
> >= < <=
<=> == === != =~ !~
&&
||
.. ...
?:(条件演算子)
=(+=, -= ... )
not
低い and or
その他Ruby
これが出るまでは #rubykaigi 2022が終われなかった、深堀りRubyKaigiイベントレポートだ。技術的な話から、kateinoigakukunさんの原点みたいな話まで、原稿確認で読み返すのすら楽しかったです。 https://t.co/SkFH29EnIe
— hogelog(東京) (@hogelog) December 7, 2022
つっつきボイス:「RubyKaigi 2022でキーノートスピーチをつとめたkateinoigakukunさんへのインタビュー記事です」「深掘りRubyですか」「文字起こしとってもありがたい」
RubyKaigi2023のページのデザインがもう上がってる! https://t.co/uLCwXRAX3h #rubykaigi
— Masaki Komagata (@komagata) December 5, 2022
「早くもRubyKaigi 2023のページができているとは」「次回は長野県松本市ですね」「ゴールデンウィーク明けか」「コロナ禍でキャンセルされましたが、今度こそ松本で」
以下はつっつき後に見つけたツイートです。
RubyKaigi 2023 is looking for sponsors, please take a look at our prospectus and register yourself at: https://t.co/OsmRTLB63P #rubykaigi
— RubyKaigi (@rubykaigi) December 8, 2022
JavaScript
Stimulus v3.2.0リリース(Rails公式ニュースより)
つっつきボイス:「Stimulusも着々とリリースされていますね」「今回の変更は少なめ」「後で自分のRailsアプリでもアップグレードします」
私のRails 7アプリではimportmap-railsを使っているので、config/importmap.rbで直接Stimulusのバージョンを更新しました。
# config/importmap.rb
pin "application", preload: true
pin "@hotwired/turbo-rails", to: "turbo.min.js", preload: true
- pin "@hotwired/stimulus", to: "https://ga.jspm.io/npm:@hotwired/stimulus@3.1.1/dist/stimulus.js"
+ pin "@hotwired/stimulus", to: "https://ga.jspm.io/npm:@hotwired/stimulus@3.2.0/dist/stimulus.js"
pin "@hotwired/stimulus-loading", to: "stimulus-loading.js", preload: true
pin_all_from "app/javascript/controllers", under: "controllers"
pin "tailwindcss-stimulus-components", to: "https://ga.jspm.io/npm:tailwindcss-stimulus-components@3.0.4/dist/tailwindcss-stimulus-components.modern.js"
言語/ツール/OS/CPU
Open AIのChatGPT
つっつきボイス:「ChatGPT大バズリしてますね」「今日のWebチーム内発表でも早速ChatGPTでRailsアプリを作ってみたメンバーがいましたね」「GPT-3という自然言語処理モデルがそれほど強力だったということなんでしょうね: 上の記事もよさそう」
参考: 【論文解説】OpenAI 「GPT-3」を理解する | 楽しみながら理解するAI・機械学習入門
「ChatGPTは趣味で使う分にはとても楽しい」「AIお絵かきの呪文の楽しさにも通じるかも」「強力だけど、当てにしすぎないようにはしたい」「口調がとても自然でもっともらしいけど、ときどきもっともらしい間違いが含まれることもあるので、結果は自分で吟味する必要がありますね」「少なくとも結果のコピペは避けたい」「顧客情報や個人情報を流し込んだりしないよう注意も必要ですね」
つっつき後にBPS社内でも注意喚起がありました。以下はDeepLの場合ですが、ChatGPTに限らずネット上のオープンなサービスを使う場合は情報の扱いに注意が必要ですね。
参考: 自分の契約書の英語版を作成するのにDeepLを使ったら、企業の情報を漏洩させてる人が多数いるのではと疑う結果になった – Togetter
「ChatGPT、早くもいろんな使われ方されていますね」
Open AI、やべえな。やべえしか出てこない。
テーブル設計についてもかなり的を得た答えしてくれる… config系のattributeを同一テーブルに持つべきか、別モデルに持たせるべきか。しかもそのPro Conまで提示してくれている…. pic.twitter.com/GbMBR1pgGf
— DAI (@never_be_a_pm) December 5, 2022
AIチャットの新しい使い方見つけた!
AI同士にディベートさせると、メジャーな論点が洗い出せる。
これ、いろんなことの予行練習に使えそう。素晴らしい。 pic.twitter.com/6LGU1tFlOO— 深津 貴之 / THE GUILD / note.com (@fladdict) December 6, 2022
Rust を ChatGPT だけで勉強する記録https://t.co/hwBU2swj9b
今後も更新します。— Ryo Suzuki (@Reputeless) December 3, 2022
HTTP レスポンスステータスコードで歌詞を書いて pic.twitter.com/fdDQtqPSnK
— トビーネット (@toby_net) December 2, 2022
#ChatGPT にオススメして頂いた…!! #OpenAI #Rails
Q. Railsの学び方
A. Railsの学び方としては、次のような方法があります。
・公式ガイドやドキュメントを読む
・ #Railsチュートリアル や本を読む
・オンラインのレッスンや教材を利用する
・実際にWebアプリケーションを作成しながら学ぶ pic.twitter.com/oIN4a9P20a— 安川要平/Yohei Yasukawa (@yasulab) December 4, 2022
以下の記事はつっつき後に知りました。使い方についてはこのあたりを見るとよさそうです。
「私もChatGPTに正規表現を生成させてみたり、正規表現にReDoS脆弱性があるかどうかを調べさせたりしました↓: ただ、この<[^>]++>
が脆弱なのは有名なので、それを知ってて回答した可能性があるかもしれませんが」
- Q:
<[^>]++>
という正規表現にReDoS脆弱性があるかどうかを教えて下さい- A:
<[^>]++>
という正規表現は、ReDoS(Regular Expression Denial of Service)脆弱性があります。
ReDoS脆弱性とは、特に悪意のある入力を与えることで、正規表現を処理する処理が遅延すること、つまりサービスが遮断されることを指します。
<[^>]++>
という正規表現は、HTMLタグを検索するために使われることが多いですが、この正規表現はHTMLタグが深く嵌っている場合に、処理が遅延する可能性があります。 例えば、次のような文字列を処理する場合、処理が遅延する可能性があります。
(ChatGTPがReDoSを実演)
参考: その正規表現の書き方で大丈夫? ReDoS 攻撃の怖さと対策方法 | yamory Blog
つっつき後に、念のため自分で作ったReDoSありとなしの正規表現もChatGPTにチェックしてもらいました。正しく判定しただけでなく、正規表現の内容にまで踏み込んでいて驚きました。複雑な正規表現を人間の言葉にしてもらうだけでも便利そうです。
後編は以上です。
バックナンバー(2022年度第4四半期)
週刊Railsウォッチ: 『RubyとRailsの何が強いのか』、書籍『Ruby on Railsステップアップ』ほか(20221213前編)
- 20221207後編 JRubyが9.4.0.0でRuby 3.1に対応、IRB v1.5.0リリースほか
- 20221206前編 月刊のHotwireニュースレター、pessimize gemほか
- 20221130後編 Ruby 3.2のParser目玉機能ほか
- 20221129前編 Hanami 2.0リリース、Railsに関わる技術の体系化を目指した本ほか
- 20221122 The Rails Foundation発足、Ruby 3.2.0 Preview 3リリース、Ruby演算子クイズほか
- 20221116後編 Rubyを使っている企業の時価総額リスト、irbのshow_source、GitHub Codespacesほか
- 20221115前編 RailsチュートリアルがRails 7対応版をリリース、ViewComponentで使えるLookbookほか
- 20221102後編 書籍『Programming Ruby 3.2 (5th Edition)』、ReDoSチェックサイトほか
- 20221101前編 Packwerkの詳しい解説書『Gradual Modularization for Ruby and Rails』ほか
- 20221026後編 Ruby 3.2のData.define、RubyPrize 2022最終ノミネート、Puma-dev gemほか
- 20221025前編 rodauth-rails gem作者の解説記事、turbo-railsの有料チュートリアルほか
- 20221019後編 Ruby技術者認定試験再受験無料キャンペーン、Starlink日本で販売開始ほか
- 20221018前編 Rails向けLanguage Server “refreshing”開発中、JetBrains Fleetほか
- 20221012後編 RailsとPostgreSQLで列挙型を作成する6つの方法、Ubuntu Proほか
- 20221011前編 Turbo 7.2.0リリース、GitLabのDevSecOpsサーベイ結果ほか
- 20221004後編 ヒアドキュメント拡張の提案、『組織に自動テストを根付かせる戦略』ほか
- 20221003前編 Kaigi on Rails 2022のタイムテーブル発表、書籍『Practicing Rails』ほか
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