こんにちは、hachi8833です。今年もアドベントカレンダーの季節がやってまいりました。よろしくお願いします。
今回は、Qiitaで見かけた『辛くない、英語で会話できるようになるまでのお金のかからない楽しい英語勉強法、エンジニアこそ英語』に刺激されて書いてみました。
最初に: 英語教育産業にとって不都合な真実
世の英会話・英語教育産業関係者はみんな知っているのに、おおっぴらに言えないことがあります。なんかステマっぽい書き方で自分でもゾクゾクしてきました。
- 英語の上達の度合いは、どんな教材を使ってもほぼ関係ない
本当に、どんな教材を使っても上達の度合いは変わりません。上達は、かけた時間と情熱にのみ比例します。
であれば、無料の教材を活用するのが一番です。英会話教室や教材にお金を出すのは、自分を追い込んでプレッシャーをかける手段ぐらいにはなると思いますが、それ以上の効能はあまり期待できません。もちろん英会話教室には「対面で質問できる」という得難いメリットがありますので、質問したいことがいっぱいある人にはよいと思います。
自力で英語力をアップするコツ
1. 「発音」「口を動かすこと」を最優先する
英語にはリーディング・ライティング・スピーキング・リスニングの4つの要素がありますが、このうちスピーキング、つまり発音を最優先しましょう。他の要素は後からついてくるぐらいに考えます。
発音はリーディングやライティングでも重要
意外に思う方も多いかもしれませんが、英文読み書きに最も卓効があるのが「発音を身につける」ことと「文章を声に出して読み上げる」ことです。
当面は英文をスムーズに読めるようになることを発音練習の目標に設定し、英文ライティングや英会話はついでぐらいに考えてよいと思います。
英語に限りませんが、文章のリズムや流れは、発音のリズムや流れに基づいています。日本語であっても、文章が自然であるかどうかを判断する基準のひとつに「自然にリズムよく読み上げられる文章になっているかどうか」があるのは不思議な話ではありません。
逆に英語の文章のリズムや流れが、英語の発音と何の関連もないとしたら、その方が不自然に思えます。
発音はリスニングでも重要
そして、リスニングでも最も重要なのがやはり「発音を身につける」ことです。
なぜなら「自分が発音できない音は聞き取れない」という、人間の認知システムの根源に関わっているからです。lとrの聞き分け、capとcupの聞き分け、rootとrouteの聞き分けができるには、自分がその違いを声で表せることがどうしても必要です。
発音を練習せずに、英文リーディングや聞き取りばかり練習するのは大変非効率です。
2. 発音練習は「毎朝少しずつ」「少なくとも1年間は続ける」
おすすめは、朝起きたときに布団の中でやることです。スマホでもタブレットでも構いません。1分でも2分でもいいので、とにかく何らかの形で毎朝やれるようになればこっちのものです。歯磨きと同じように習慣づけることです。
朝はネットも速いので、なおおすすめです。
最初のうち、意味がわからない部分があっても構わず最後まで発音してしまいましょう。後で調べれば済むことです。
早い人なら、10日目ぐらいで効果を実感できるでしょう。これを3〜4か月も続ければレベルが1つ、休みなく1年間続ければ確実にレベルが3つぐらいアップします。
逆に、月に一度がっつり朝から晩までとか、合宿で猛特訓みたいなのは挫折しやすいのでおすすめできません。
こんなツィートも見つけました。
英語の上達は 3次関数(y = x^3)のグラフに似てる(笑)
①英語を学ぶ
↓
②Tipping Pointに達する:英語で考える
↓
③「英語を学ぶ」を意識せず、英語で学ぶ始めた頃は上達も速い。が、スピードは穏やかになり、②の直前では進まないようにも見える。しかし、②を過ぎれば上達は劇的に速くなる pic.twitter.com/zIIgTBIutX
— Sangmin Ahn (@gijigae) November 15, 2018
意志より「習慣」がポイント
「意志が強い人でないと継続できない」ではなく、「意志が強くなくても継続できるために、習慣づける」と考えていただければと思います。
『ヤル気の科学』では「意志は限りあるリソースだ」という重要な点を指摘しています。その日に発揮できる意志力には限りがあるということです。
発音練習も、最初のうちはともかく、毎回意志力を発動して、嫌がる自分に鞭打っていては何か月も持ちません。朝起きたら無意識にやるところまで習慣づいてしまえば、貴重な意志力を無駄に消費せずに済みます。
3. 飽きたらどんどん教材を変える
以下におすすめ無料教材をご紹介してはいますが、1つの素材に操を立てる必要などありません。ましてや、続かなかったことで罪悪感を感じる必要もありません。
飽きたらどんどん変える。ノッてきたらそのまま続ける、気が向いたら他の教材にも浮気してみる。たまにサボっても気にせず続ける。ある意味、これが最大の秘訣かもしれません。無料だからこそ使える手法です。
自分の興味が続く素材が一番です。
慣れてきたら、スマホやAmazon Echoなどを英語モードにして、音声認識で自分の発音が通るかどうか遊んでみてもよいでしょう。実際、海外の英語教室ではとっくにスマホの音声認識がカリキュラムに組み込まれています。
4. 恥ずかしがらずに声に出す
無理することはありませんが、可能なら自室でおのれの演技力をフルに発揮してそれっぽく発音することに集中しましょう。ボディアクションもできるだけおおげさに付けてみましょう。
余裕があれば、日本語で話すときより心持ち声のトーンを低めにして発音するとよいでしょう。そうすることで喉に無駄な力が入らなくなり、声の通りもよくなります。
英語圏はどういうわけか男女を問わず声のトーンを低めに保つことを尊ぶ傾向があるのですが、甲高い声は「子供っぽい」と考えているのかもしれません。
発音を基礎からやりなおすと、非常に基本的な語彙から始めることになりますが、「もう知ってるよそんなこと」と思いたくなるのをぐっとこらえてみましょう。
TEDやら技術系Podcastやらでいきなり意識高くやりたい気持ちはわかりますが、一度ハードルを下げておいて、継続を優先するのがおすすめです。
私にフィットした無料教材
私はたまたまこれらが性に合いましたが、これらを無理にすすめるつもりはありません。皆さまはお好きな教材をお使いください。
いずれもアメリカ英語に寄っています。
readingbear.org
Wikipediaの創設メンバーが設立した、英語の無償教材です。主に幼児向けの発音教材ですが、英語のすべての発音をシステマチックに網羅していて、大変よくできています。
特に素晴らしいのは、すべての発音に画像を表示している点です。mustみたいな抽象的な言葉も何とかがんばって絵で表そうとしているところに好感が持てます。
ちょっと残念なのは、Flashナビゲーションの操作性が今ひとつなのと、画面を開きっぱなしにしているとたまにログオフしてしまう点です。
各回の開始画面は以下ですが、デフォルトの「Sound It Out Slowly」だと大人にはあまりに遅すぎるので、「Sound It Out Quickly」をクリックして始めるとよいでしょう。
VOAの動画教材
VOA(Voice of America)という米国のプロパガンダ機関が主催する無料の英語教材です。
米国の税金を注ぎ込んで質の高い動画教材を多数公開しています。
特に素晴らしいのは、ほぼすべての動画教材に凝った字幕が表示されることです。以下の「最近使われなくなりつつある文法」の回は内容的にも興味深いものでした。
私は主に以下の中から選んで、ベッドの中で毎朝声に出してしていますが、好き好きでよいと思います。ほぼ毎週更新されています。
- English In A Minute — 文字どおり1分間英語。新し目の日常の言い回しを小芝居で解説します。
- Everyday Grammar TV — 文法を2分程度でグラフィカルに解説します。
- Learning English TV — 2分程度のニュース解説的なコンテンツです。トランプ大統領にも遠慮しない踏み込んだ内容のこともあります。上に忖度ばかりしている日本ではとても同じことはできなさそう。
- News Words — ニュースに出てくる単語を1分程度で解説します。
- (音声中心)Science & Technology — 科学技術系の記事を音声つきで読めます。1記事5分程度です。
learningenglish.voanews.comより
私の場合
私は音楽に入れ込んでいた時期が割と長かったのですが、そのせいか、音楽を聴くときにサウンドや楽器編成や構成にばかり注目しがちで、洋楽邦楽問わず歌詞がさっぱり耳に入ってこないタイプでした。
私の場合、割といい年になってから上の発音練習を始めて7〜8年になりますが、つい最近、YouTubeでたまたま聴いた昔の洋楽↓で、歌詞が最初から耳に飛び込んでくるという経験を初めて得られました。
まったくもって個人的な体験ではありますが、驚きとともに感激しました。