こんにちは、hachi8833です。先週リリースされたRails 5.1の目玉機能のひとつである#form_with
のAPIドキュメントを翻訳いたしました。
概要
- Rails 5.1英語ドキュメント: ActionView::Helpers::FormHelper#form_with
原文の更新や訳文の誤りにお気づきの方は、ぜひフォームまたは@techrachoまでお知らせください。
参考
Rails 5.1 #form_with
APIドキュメント(翻訳)
# API呼び出し
form_with(model: nil, scope: nil, url: nil, format: nil, **options)
URL、スコープ、モデルの組み合わせを元にformタグを作成します。
URLのみを指定する
<%= form_with url: posts_path do |form| %>
<%= form.text_field :title %>
<% end %>
# =>
<form action="/posts" method="post" data-remote="true">
<input type="text" name="title">
</form>
inputフィールド名にスコープのプレフィックスを追加する
<%= form_with scope: :post, url: posts_path do |form| %>
<%= form.text_field :title %>
<% end %>
# =>
<form action="/posts" method="post" data-remote="true">
<input type="text" name="post[title]">
</form>
渡されたモデルからURLとスコープを自動推測する
<%= form_with model: Post.new do |form| %>
<%= form.text_field :title %>
<% end %>
# =>
<form action="/posts" method="post" data-remote="true">
<input type="text" name="post[title]">
</form>
既存のモデルを更新するフォームで、モデルの値をフィールドに表示する
<%= form_with model: Post.first do |form| %>
<%= form.text_field :title %>
<% end %>
# =>
<form action="/posts/1" method="post" data-remote="true">
<input type="hidden" name="_method" value="patch">
<input type="text" name="post[title]" value="<postのtitle>">
</form>
フォームのフィールドは、必ずしもモデルの属性と対応してなくてもよい
<%= form_with model: Cat.new do |form| %>
<%= form.text_field :cats_dont_have_gills %>
<%= form.text_field :but_in_forms_they_can %>
<% end %>
# =>
<form action="/cats" method="post" data-remote="true">
<input type="text" name="cat[cats_dont_have_gills]">
<input type="text" name="cat[but_in_forms_they_can]">
</form>
フォームのパラメータは、コントローラでパラメータのネストに沿ってアクセスできます。つまり、inputフィールドにtitle
とpost[title]
というフィールド名がある場合、コントローラではそれぞれparams[:title]
とparams[:post][:title]
としてアクセスできます。
フォームのinputフィールド名 | コントローラのparams |
---|---|
title |
params[:title] |
post[title] |
params[:post][:title] |
#form_with
にはデフォルトでdata-remote
属性が追加され、rails-ujsなどのunobtrusive JavaScript(控えめなJavaScript)ドライバが使われている場合はバックグラウンドでXMLHTTPRequest
経由でフォームを送信します。詳しくは:local
オプションをご覧ください。
なお、上の例では比較しやすさのため送信ボタンを省略しています。また、UTF-8サポート用に自動生成される隠しフィールドや、CSRF(クロスサイト・スクリプト・フォージェリ)攻撃からの保護のために自動追加される認証トークンも省略しています。
#form_with
で利用できるオプション
:url
- フォームの送信先URLを指定します。
渡せる値は、url_for
やlink_to
で渡せる値と似ています。たとえば、名前付きルートを直接渡すこともできますし、:url
なしで:scope
を渡すと、現在のURLにフォームを送信することもできます。 :method
- フォーム送信時のHTTPメソッド(verb)を指定します。
通常は:get
や:post
を指定します。
:patch
、:put
、:delete
を指定すると、隠しinput名の後ろに_method
が追加され、POST verb上でこれらのHTTP verbをシミュレートします。 :format
- フォーム送信先であるルーティングのフォーマットを指定します。
:json
など通常と異なるリソースタイプを送信するのに便利です。
:url
がオプションに渡されている場合、このオプションはスキップされます。 :scope
- inputフィールド名のプレフィックスにスコープを追加します。これにより、送信されたパラメータをコントローラでグループ化できます。
:model
:url
や:scope
の自動推測に使うモデルオブジェクトを指定し、inputフィールドにモデルの値を表示します。
たとえば、title
属性の値が"Ahoy!"
ならtitle
の入力フィールドの値に"Ahoy"
と表示されます。
モデルが新しいレコードの場合は作成用フォームが生成され、モデルが既存のレコードの場合は更新用フォームが生成されます。
デフォルトの動作を上書きするには、:scope
か:url
を渡します(params[:post]
をparams[:article]
に変更するなど)。:authenticity_token
- フォームで使う認証トークンを指定します。
カスタムの認証トークンを指定して上書きすることも、false
を渡して認証トークンのフィールドをスキップすることもできます。
有効なフィールドのみに制限されている支払用ゲートウェイへのような外部リソースにフォームを送信する場合に便利です。
config.action_view.embed_authenticity_token_in_remote_forms = false
を指定すると、埋め込み認証トークンがリモートフォームで省略されることがあります。この指定はフォームでフラグメントキャッシュを使う場合に便利です(リモートフォームがmeta
タグから認証トークンを取得するようになるので、JavaScriptがオフになっているブラウザをサポートする場合を除けば認証トークンをフォームに埋め込む必要がなくなります)。 :local
local: true
を指定するとフォームのリモート + unobtrusive XHR送信が無効になります(デフォルトのフォームではリモート + unobtrusive XHRが有効になります)。:skip_enforcing_utf8
true
を指定すると、送信時にutf8
という隠しフィールドがスキップされます(デフォルトの送信ではutf8
フィールドが出力されてエンコードがUTF-8になります)。:builder
- フォームのビルドに使うオブジェクトをオーバーライドします。
:id
- HTMLの
id
属性を指定します(オプション)。 :class
- HTMLの
class
属性を指定します(オプション)。 :data
- HTMLの
data
属性を指定します(オプション)。 :html
- 上以外のHTML属性を使う場合に指定します(オプション)。
例
#form_with
にブロックを渡さない場合は、開始formタグを生成します。
# 名前付きパスを指定する場合
<%= form_with(model: @post, url: super_posts_path) %>
# スコープを追加する場合
<%= form_with(model: @post, scope: :article) %>
# フォーマットを指定する場合
<%= form_with(model: @post, format: :json) %>
# トークンを無効にする場合
<%= form_with(model: @post, authenticity_token: false) %>
ルーティングをadmin_post_url
のような名前空間化する場合は以下のようにします。
<%= form_with(model: [ :admin, @post ]) do |form| %>
...
<% end %>
たとえばリソースに関連付けが定義されているとします。ルーティングが正しく設定されているdocumentにcommentを追加したい場合は次のようにします。
<%= form_with(model: [ @document, Comment.new ]) do |form| %>
...
<% end %>
上のdocumentには@document = Document.find(params[:id])
が既に与えられているとします。
#form_with
でラベルを表示する場合、フィールドのid:
にラベルを設定する必要があります。
<%= form_with(model: @post) do |form| %>
<%= form.label :title %>
<%= form.text_field :title, id: :post_title %>
<% end %>
for
属性の導出方法についてはlabel
を参照してください。
他のフォームヘルパーと組み合わせる
#form_with
ではFormBuilderオブジェクトが使われていますが、単独のFormHelperのメソッドやFormTagHelperのメソッドと共存させることもできます。
<%= form_with scope: :person do |form| %>
<%= form.text_field :first_name %>
<%= form.text_field :last_name %>
<%= text_area :person, :biography %>
<%= check_box_tag "person[admin]", "1", @person.company.admin? %>
<%= form.submit %>
<% end %>
同様に、FormOptionHelperのメソッド(FormOptionHelper#collection_select
など)と共存させたり、DateHelperのメソッド(ActionView::Helpers::DateHelper#datetime_select
など)と共存させることもできます。
HTTPメソッド(verb)の指定方法
以下のHTTP verbの完全な配列をoptions
ハッシュに渡すことができます。
method: (:get|:post|:patch|:put|:delete)
verbがGET
やPOST
以外の場合(この2つはHTMLフォームでネイティブでサポートされます)、フォームそのものにはPOST
verbが設定され、_method
という名前の隠しinputフィールドには指定の verbが設定され、後者がサーバーで解釈されます。
HTMLオプションの設定方法
HTMLのdata-*
属性はdata:
ハッシュで直接渡せますが、id:
やclass:
を含む他のすべてのHTMLオプションについては次のようにhtml:
ハッシュの中に置く必要があります。
<%= form_with(model: @post,
data: { behavior: "autosave" },
html: { name: "go" }) do |form| %>
...
<% end %>
上のコードから以下のHTMLが生成されます。
<form action="/posts/123" method="post" data-behavior="autosave" name="go">
<input name="_method" type="hidden" value="patch" />
...
</form>
非表示のモデルidを出力しないようにする
#form_for
メソッドを使うと、自動的にモデルidが隠しフィールドとしてフォームに含まれます。このモデルidは、フォームデータとそれに関連付けられているモデルとの関連を保つために使われます。
ORMシステムによってはネストしたモデルでこうしたidを使わないものもあるので、その場合は次のようにinclude_id: false
を指定することで隠しフィールドのモデルidを出力しないようにできます。
<%= form_with(model: @post) do |form| %>
<%= form.fields(:comments, skip_id: true) do |fields| %>
...
<% end %>
<% end %>
上の例では、NoSQLデータベースにPost
というモデルがひとつと、それに一対多で関連付けられるComment
というモデルが保存されています。:comments
には主キーはありません。
フォームビルダをカスタマイズする
FormBuilderクラスをカスタマイズしてフォームをビルドすることもできます。カスタマイズするには、FormBuilderを継承してサブクラスを作り、必要なヘルパーメソッドを定義またはオーバーライドします。
次のコード例では、フォームのinputにラベルを自動追加するヘルパーを作成済みであることが前提です。
<%= form_with model: @person, url: { action: "create" }, builder: LabellingFormBuilder do |form| %>
<%= form.text_field :first_name %>
<%= form.text_field :last_name %>
<%= form.text_area :biography %>
<%= form.check_box :admin %>
<%= form.submit %>
<% end %>
上のようにコードを書いてから、次のコードを書きます。
<%= render form %>
これにより、people/_labelling_form
というテンプレートを使ってレンダリング(=HTML生成)され、フォームビルダを参照するローカル変数の名前はlabelling_form
になります。
特に指定しない限り、カスタムのFormBuilder
クラスは、ネストした#fields_for
呼び出しのオプションと自動的にマージされます。
上のようなコードを別のヘルパーにも含めておきたい場合は、以下のように書くこともできます。
def labelled_form_with(**options, &block)
form_with(**options.merge(builder: LabellingFormBuilder), &block)
end